先日、次のような問い合わせをいただきました。
今年の確定申告をマネーフォワードを使用して白色申告しようと思っています。
主にせどりをやっておりShunさんのブログを参考にしているのですが、Amazonでの売買の記入の流れを教えて頂けると幸いです。
確かにネットで「せどり 白色申告」とか「白色申告 マネーフォワード」とか調べても、具体的な仕訳のやり方が載っているサイトはほとんど見つかりません。
今回は、せっかくなので「せどりの白色申告の書き方」「マネーフォワードを使った白色申告のやり方・手順」などを画像つきで詳しく解説します。
Amazon転売(せどり)の確定申告を白色申告したい人向け
この記事は「せどりの確定申告を白色申告したい人」に向けて書かれています。
白色申告は、
- 事前の届出:不要
- 記帳方法:単式簿記(家計簿の形式)でOK
といった要件なので、初めて確定申告するという方は白色申告を選ぶ場合が多いかもしれません。
このページを読み終える頃には、せどりで白色申告をする手順がわかるようになります。
なるべく簿記やシステムについて詳しくない方でも理解しやすいように書いていきます。
なお、青色申告で確定申告したい場合は、以下の記事が参考になります。
Amazonせどりをしたい・すでにしているけど、開業届の提出は必要なの?副業せどりでも開業届を出さなければいけないの?個人事業主になって青色申告の控除を受けるには、開業届を出すだけでいいの?こういった疑問にお答えします。[…]
Amazon転売(せどり)の白色申告の書き方【手書きはNG】
まず前提ですが、確定申告を手書きで行なうのはおすすめしません。
白色申告でも青色申告でも、確定申告するときは必ず「マネーフォワード クラウド」などの会計ツールを使ってください。
その理由は3つ。
- 手書きは 時間がかかる
- 手書きは 記入ミス・漏れのリスクがある
- 手書きは 集計ミスのリスクがある
手書きで帳簿をつけたり、確定申告の書類を書くことのデメリットを考えると、やはり専用の会計ツールを使って正確に・素早く・簡単に仕上げてしまうのがベストだと思います。
私も使っている確定申告ツール「マネーフォワード クラウド」のレビュー記事はこちらです。
この記事でご紹介するのは、確定申告や日々の帳簿づけを自動化してくれるツール「マネーフォワード クラウド」です。(以前は「MFクラウド会計」という名前でしたが2018年に改名されました)今回は、マネーフォワード クラウドの「機能」「評[…]
複式簿記でも白色申告できるの?
もしかしたら勘違いされてる方がいるかもしれませんが、白色申告するからといって無理に単式簿記をつける必要はありません。(税理士・公認会計士に確認済み)
そもそも記帳の原則は「複式簿記」です。白色申告では例外的に「単式簿記」も認めているというわけです。
なので、複式簿記で白色申告することはもちろん可能です。
複式簿記のメリットとデメリット
複式簿記は、正規の記帳方法です。簿記のルールに従って、借方・貸方という形で左右にわけて表します。
複式簿記のメリットは主に3つ。
- 青色申告 65万円控除を受けることができる
- 資産の動きや損益を正しく把握できる(経営管理しやすい)
- 帳簿としての信頼性が高いため、税務調査が来ても安心
逆に、複式簿記の唯一のデメリットは「記帳が少し複雑」という点ですが、会計ツール「マネーフォワード クラウド」を使えば勝手に複式簿記で記録してくれるので、あまり心配はいりません。
単式簿記のメリットとデメリット
単式簿記は、収支だけつけるシンプルな記帳方法です。例えば、家計簿やお小遣い帳、銀行の預金通帳などがこれにあたります。
単式簿記のメリットとデメリットは、複式簿記の裏返しです。
単式簿記のメリットは「記帳が簡単」という1点のみ。
逆に、単式簿記のデメリットは下の3つになります。
- 青色申告 65万円控除を受けることができない
- 資産の動きや損益を正しく把握できない(経営管理しにくい)
- 帳簿としての信頼性が低いため、税務調査で不利になる(推計課税されやすい)
※「推計課税」というのは、納品書や領収書などの書類が揃っていない場合に、同業他社の平均値などを参考に“推定で”税金が決められることです。推計課税が適用されてしまうと、本来よりも多く税金を納める可能性があります。
このように単式簿記はデメリットばかりが大きいので、あまりおすすめはしません。
マネーフォワード クラウドで単式簿記の仕訳はできるの?
「マネーフォワード クラウドでは単式簿記の仕訳はできるのか?」という疑問ですが、
結論としては、マネーフォワード クラウドで単式簿記での仕訳はできません。
いまのところ複式簿記での仕訳のみ対応しています。
※「簡易入力」という(単式簿記っぽい)機能を使えば、家計簿をつけるような感覚で仕訳できます。「簡易入力」を使用しても、もちろん仕訳された結果は複式簿記で記録されます。
ですが、前述したように複式簿記で白色申告することは可能です。
複式簿記のメリットを得るためにも、できれば複式簿記で記帳することをおすすめします。
Amazon転売(せどり)の白色申告をマネーフォワードでやってみよう【準備編】
実際に「マネーフォワード クラウド」を使って、白色申告の流れを丁寧に説明していきます。
マネーフォワード クラウドに登録する
まずは、マネーフォワード クラウドに登録しましょう。
マネーフォワード クラウドは、年間50件までの仕訳であれば、30日間無料で使えます。
試しに使ってみてもし合わなければ、使用をやめれば料金は1円もかかりません。
» 参考:マネーフォワード クラウド公式サイト
マネーフォワード クラウドにログインする
マネーフォワード クラウドのアカウントを作成するためには、メールアドレス、パスワードなどの設定が必要です。
メール認証が完了したらログインできるようになります。
アカウントが作成できたら、さっそくログインしてみましょう。
【1】ページを下にスクロールして、確定申告>「サービスを使う」をクリック
【2】「以下に同意して利用を開始する」をクリック
【3】マネーフォワード クラウド確定申告の利用が開始される
事業所の設定をする
まず初めに事業所の設定をしておきましょう。
【1】左メニューから、各種設定>事業所 を選択
【2】申告区分:白色申告 / 業種区分:小売業 を選択
【3】「設定を保存」をクリック
これで事業所の設定はOKです。
なお、消費税の設定については以下の記事を参考にしてください。
先日こういったお問い合わせをいただきました。マネーフォワードでAmazonと自動連携したのですが、仕訳されたデータを見ると、貸方(右側)に商品代金や配送料の他に、以下のようにそれぞれの税が仕訳されています。・勘定科目:未[…]
Amazon転売(せどり)の白色申告をマネーフォワードでやってみよう【仕訳編】
次に、Amazonでの売上・返品などについてマネーフォワードを使って仕訳をしていきます。
Amazon出品者アカウントから売上データを連携する
【1】左メニューから、データ連携>新規登録 を選択
【2】ビジネス>Amazon.co.jp(出品者アカウント)を選択
【3】Amazonに登録済みのメールアドレスとパスワードを入力後、「連携登録」をクリック
すると、自分のAmazonアカウントから、売上データがマネーフォワードにインポートされます。(少し時間がかかるので待ちましょう)
売上時の仕訳
Amazonアカウントから売上データが入って来たら、実際に仕訳をやってみましょう。
商品が売れたときの仕訳は、このようになります。
支払手数料 ××× / 売上高 ×××
売掛金 ×××
【1】ホームで Amazon.co.jp(出品者アカウント)の「未仕訳○○件」をクリック
【2】仕訳を確認する
自動で仕訳が提案されているので確認しましょう。
① 借方(左側)はこんな感じです。
※勘定科目「支払手数料」の下にある「Amazon手数料〇〇」といった補助科目はぶっちゃけ設定しなくても大丈夫です。なお、補助科目の設定は、左メニュー>各種設定>勘定科目 から行ないます。
② 貸方(右側)と摘要(メモ欄)は基本そのままでOK。
③ 借方合計と貸方合計の金額が一致していればOKです。
【3】仕訳を登録する
右下の「登録」をクリックします。
※ 「自動仕訳ルールとして保存」にチェックをつけてから登録すると、次回以降に同じような仕訳が来た時に、保存された勘定科目で自動提案してくれます。(AIに学習させることができます)
【4】まとめて仕訳することもできる
「一括選択」にチェックを入れて「一括登録」をクリックすると、まとめて仕訳できて便利です。
返品時の仕訳
商品の返品があった場合、売上時の逆仕訳を行ないます(売上の仕訳と相殺)。
売上高 ××× / 支払手数料 ×××
/ 売掛金 ×××
具体的には次のような手順になります。
【1】仕訳を確認する
返品の場合も、自動で仕訳が提案されています。
① 借方(左側)は、売上時の貸方(右側)にあったものが来ます。
② 貸方(右側)は、売上時の借方(左側)にあったものが来ます。摘要(メモ欄)はそのままでOK。
③ 借方合計と貸方合計の金額が一致していればOKです。
【2】仕訳を登録する
右下の「登録」をクリックして完了です。
Amazon月額登録料の仕訳
Amazon FBAで販売していると毎月、月額登録料がかかります。
その仕訳は下のようになります。
支払手数料 ××× / 売掛金 ×××
マネーフォワードの画面ではこうなります。
参考:複式簿記での確定申告のやり方
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