この記事では、個人事業・自営業の確定申告でよく使われる勘定科目「事業主貸」と「事業主借」の違いと、その使い方について解説します。
個人事業主の場合は、「現金」勘定の代わりに「事業主貸」「事業主借」を使ったほうが会計処理がシンプルで手間がかかりません。
確定申告をスピーディーに終わらせるためにも「事業主貸」「事業主借」を使ったほうが効率がいいのです。
この記事は、副業で何かに取り組まれている方はもちろん、専業・フリーランスの方も参考になると思います。
私の場合は専業のAmazon転売(せどり)ですが、記事の内容は以下のビジネスにも対応しています。
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なおその他の勘定科目については以下のページにまとめてあります。
ネットビジネスの確定申告って難しそう・・・Amazon転売・せどりの勘定科目の使い方、仕訳のやり方を教えて欲しいこの記事はこういった方のために書きました。Amazon転売(せどり)はもちろんのこと以下のビジネスに取り組ん[…]
事業主貸・事業主借の基本となる考え方
- 銀行口座にある現金 = ビジネス用
- 財布・手元にある現金 = プライベート用
- クレジットカード = ビジネス用
とみなして考えてください。
会計規則上もこの考え方で問題ありません。
事業主貸(じぎょうぬしかし)とは
事業主貸とは、ビジネス(事業)が 事業主(あなた)に「貸す」お金のことです。
主語がビジネス(事業)である点に注意してください。
事業用のお金を、事業主のプライベートな使途のために使う際に使う勘定科目です。
いくつか例を挙げて説明します。
【例】銀行口座から現金10万円を引き出した
この仕訳は引き出した現金がプライベート用・ビジネス用なのか明確に区分できない場合に便利です。
(銀行口座もビジネス用・プライベート用の区別をする必要がありません)
銀行から現金を10万円引き出したからといって、その時点で使い道が明確に決まっているとは限りません。
なので、現金を引き出したらいったん事業主のポケットマネーと見なして「事業主貸」で処理するのです。
また、「事業主貸」勘定はクレジットカードでプライベートの買い物をした場合にも使います。
【例】プライベートの飲食代5千円をクレジットカードで支払った
「ビジネス用のクレジットカードをプライベート目的で使った=事業から事業主に貸した」とみなします。
なお、プライベートの飲食費を「接待交際費」に計上することはできないので注意してください。
事業主借(じぎょうぬしかり)とは
事業主借とは、ビジネス(事業)が 事業主(あなた)に「借りる」お金のことです。
やはり主語がビジネス(事業)である点がポイントです。
事業主のプライベートな現金・ポケットマネーを、ビジネス目的で使う際に使う勘定科目です。
【例】財布にある現金でビジネス用の事務用品を500円で買った
財布から現金を取り出して、ビジネス用の事務用品を買った場合は上のように仕訳します。
「事業主借」を使えばたったこれだけです。
その財布がプライベート用なのかビジネス用なのか考える必要もありません。
「現金」勘定を使わなくて済むのがポイントです。
【例】財布にある現金で10,000円の商品を仕入れた
財布から現金を取り出して、仕入れ代金を支払った場合は上のようになります。
【例】銀行口座に現金10万円を預け入れた
銀行にお金を預け入れた場合は「事業主借」を使います。
ビジネス用の銀行に、プライベートのお金を預けたとみなします。
【例】本業の給与20万円が銀行口座に振り込まれた
副業でビジネスをやっている方の場合、本業の給与が銀行に振り込まれた際にこのような仕訳を切ります。
本業の給与は事業とは関係のないプライベートのお金なので、それがビジネス用の銀行に振り込まれたら「事業主借」で処理します。
なお、確定申告では本業の給与は「事業所得」に含めず「給与所得」として申告しなければいけません。
事業主貸・事業主借を使うメリット
以上をまとめると、事業主貸・事業主借を使うメリットとしては、
- 「現金」勘定を使う必要がない
- 財布(現金)をビジネス用・プライベート用で分ける必要がない
- クレジットカードをビジネス用・プライベート用で分ける必要がない
といったことが挙げられます。
つまり、財布などビジネス・プライベート関係なく同じものを使っていても、以下の3パターンの仕訳でほとんど処理できます。
財布に現金を入れた場合
プライベートの買い物にクレジットカードで支払った場合
財布にある現金で支払った場合
注意点
「事業主貸」「事業主借」勘定が使えないパターンもあります。
それは、借方・貸方ともにプライベート用の勘定科目のときです。
なので、財布から現金を出してプライベート用の買い物をした場合
となるため会計処理をする必要はありません。
最後に
個人事業主・自営業の方は「事業主貸」「事業主借」勘定を使うと、非常に会計処理が楽になるのでぜひ使いこなしましょう。
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